AVENTURE -君の名前を教えて-
真っ暗になる部屋。
外から差し込む、微かな月の光と、街灯の灯火だけが、部屋の中をほんのりと明るく照らしていた。

そして。

「わぁ…!」

日本ではなかなか見ることが出来なくなったものが、目の前に集まっていた。

「綺麗…」

ところどころで光る淡い黄緑色のそれを、私は生で見るのは初めてだった。

「おい、これは…」

アヤも少しだけ驚いたような声を上げ、私の隣にそっと近づいてきた。

「凄いね。こんなに沢山…日本でも滅多に見れないのに」

不意に1匹が、私の肩に止まった。

「蛍っていうんだよ」

規則的に光を放つそれを見つめる。

「なんでこんなに光ってるんだ?」

不思議そうに呟くアヤ。
そっと、私の肩に止まっていた蛍を捕まえようと手を伸ばしてくる。

「確か、求愛の信号で…あっ…」

アヤの気配を察知したのか、肩に止まっていた蛍が飛んでいく。

「………」

行き場を失ったアヤの手が、そっと、私の頬に触れてきた。


え…?
な、なに?


窓から差し込む光に照らされるアヤの顔は、とても綺麗で。
私は視線を逸らす事が出来なかった。


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