図書室ではお静かに~甘い声は唇で塞いで~【完】


蓮は躊躇した。

抱きしめるのは簡単。

問題はその後。

止まれる自信なんて無かった。

それでも――。



蓮は美優を抱きしめた。

その後なんて知らない。

どうでもいい。


きつく抱きしめる。


「大丈夫、美優は受かるよ」


気休めにしかならないのは分かっていたけど美優に伝える。


「蓮くん・・・・・・」


美優の手からココアの缶が音を立てて落ちた。

地面に広がるココアはあたりに甘い香りを残す。


「ありがと」


美優が蓮に体を預けるようにその腕にすがる。

髪が流れる。

その腕に美優の息を感じる。


共に重みが蓮の腕に伝わる。


その重みが蓮の理性をつなぎ止めた。


蓮は唇を噛みしめて、決意する。


「もう、家まで送るよ」


腕の中で笑う美優を見てよかったと、蓮は心の中でほっと息をついた。

< 85 / 205 >

この作品をシェア

pagetop