図書室ではお静かに~甘い声は唇で塞いで~【完】

「じゃあ、また明日」


簡単にそんな台詞を口にする美優にムカついて、抱き寄せる。


これっくらいはいいよな?


簡単に揺らぐ決意。


蓮は唇を奪う。


「・・・・んっ!」


とっさのことで美優の目は開かれたまま。

蓮は美優をすぐに解放した。

じゃないと、止まれないから。


「お休み」


蓮は平静を装い、顔の赤い美優に極上の笑顔を向けた。

美優は耳まで赤くして、走ってドアの中に消えた。

蓮はそれを確認して、帰り道を歩く。

携帯をもてあそびながら。


電話をかけようか?

いや、やっぱりメール?


考えてメールにした。

自分の番号とアドレス、それに「明日、あさ待ってるから」と文章も乗せて送る。

電車に揺られながら、なかなか鳴らない電話を見つめる。

家にたどり着き、携帯をベッドに投げた。

着地と共に鳴るメロディー。

蓮は急いで携帯を拾い上げ、相手を確認する。

『相原美優』

その名前を見るだけで、顔がにやける。


「ココア、ありがとう。朝、早いけどちゃんと起きてね」


短い文章。

蓮はベッドに横たわり、何度もその画面を見ては返信しようとしてはあきらめる。

もう時刻は12時を回っていた。


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