恋がしたくて…
ちょっと前のあたし…
仕事中の私は、
自分でも おかしかった。

まるで、全身から 触角が生えているようだ。

私は、全身で、佐々木さんを 捕らえようとしていた。


そして、いよいよ 佐々木さんが 席を立った時。

素早くトイレに立つ私。

急いで廊下に出る。

出入り口の、曇りガラスの、すぐ向こうには 佐々木さんの背中がある。


もうすぐだ!

もうすぐ、佐々木さんに追いつける!


私の全身が、喜びの興奮で満たされる。

このまま、背中に 飛びつきそうな 勢いだ。


ところが、ガラスのドアをあけると、向こうから、フロアに戻ってくる人がいるではないかー。


そんな中で、社員の佐々木さんと、派遣の私が、 話す訳には いかない。


しょうがない…。

こうなったら トイレに行くふりでもしながら、佐々木さんが 戻ってくるのを 待つしかない…。

いかにも、
『佐々木さんを 待ってました』
と言わんばかりの状態になるが、

今の私には、そんな事は どう思われても かまわなかった。



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