恋がしたくて…
なんとなく 気まずい空気になり、
佐々木さんは 話題を変えてくれたけど…。
そのまま 盛り上がる事もなく、
私達は お店を出て、帰る事にした。



まただ。
これじゃ、また 前回と同じだ。

こんな 気まずい空気のまま さよならは いやだ!

店を出た所で、私は 勇気を出して言った。


「さっきは ごめんなさい。佐々木さんの話。さえぎっちゃったよね。
佐々木さんの気持ちが分からなかった訳じゃないの。
ただ…。奥様の 話を聞いていたら…。
なんだか 自分の事みたいに思えてきて…。
私も そんなとこあるから…。
あたしもきっと。
可愛げない…。」


うつむく私。



その時、
ぎゅっと 佐々木さんが 横に居る私を 抱きよせた。

どきんっ とする私。


「亜子は そんな事 言うな。」

そう言いながら、佐々木さんは、さらに私を引き寄せた。

わき腹にある佐々木さんの手には すごい力が込められていて、痛かった。

その痛みが、佐々木さんに 遊ばれてる訳ではない事を 実感させた。

遊ばれてるどころか、むしろ、すがられてる気がした。

佐々木さんが…。

愛しくなる…。
< 75 / 150 >

この作品をシェア

pagetop