涙の宝器~異空間前編
車を付けるとシートベルトを外した。

「俺ここで待ってるから」

俺はそう言って二人を行かせた。
ただボーッとしたかったんだ。

無音の車内。
ふと周りの人たちを見渡す。
同じ人間なのに都会とは随分と価値観が違うんだろうなぁ。

やはり、人は環境で生活が変わる。
生活の基盤はまだまだだが、何かに向かって生きている気持ちが俺を向上させてくれている。

バタンッ。

ドアが閉まる音で俺はわずかな睡眠から覚めた。

後部席には買い物袋が幾つもあった。
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