お伽話をキミに。
龍ちゃんの言葉を心の中で繰り返せば、出てくるのは一つの言葉と表しきれない気持ち。
諦めるなんてそんなの、そんなこと…っ
「…出来るわけないだろ、諦めるなんて…っ!!!!」
初めてした恋。
いつだって漫画の中の登場人物たちに憧れてた。
恋して綺麗になっていく女の子たち。そんな女の子に惹かれてく男たち。
みんな、キラキラ光って見えて。
羨ましかったんだ。
俺にはないその光が。
「…なら、うじうじしてんじゃねぇよ」
…え…?
声を上げて思いの丈をぶつけた俺に、龍ちゃんは軽く笑ってそう言うとすっとソファーから立ち上がってキッチンに向かった。