お伽話をキミに。
龍ちゃんは眉を寄せ険しい顔をしながら、一口コーヒーを流し込む。ゆっくり喉を鳴らした後に見せたのは、俺が見たことない大人の笑みだった。
「何が特別なのかはお前が自分で考えろ。諦めたくねぇなら、な」
何が特別なのか。
それはきっと遠回しに"王子様じゃ駄目だ"って言ってるんだと思う。
そんで、悔しいけど龍ちゃんはその答えを知ってる。
でも考えるのは俺。
その答えを見つけて行動しなくちゃいけない。
いつだって彼女のこと考えてる。
だけど、ただ思ってるだけじゃ駄目なんだ。
だって俺は、彼女と手が繋げる存在になりたいんだから。
「…俺、頑張る」
俺はぐっと覚悟を固めコーヒーを飲み干す。
…っ苦い…
でもその苦みが何だか俺を違う自分に変えてくれる気がした。
act3*end