お伽話をキミに。




じろりと郁を睨めば、郁ははぁぁぁぁ…と長すぎる溜息を吐いた後、今度は真っ直ぐ視線を俺に向けた。

その真剣すぎる目に思わずドキリとする。




「……その人の"王子様"ななるには、それくらい頑張らなきゃ駄目なのかもなってこと」




漸く、郁人の言いたいことがわかった。


要はいつまでも甘ったれるなってことだと思う。

結局俺には度胸が無いんだ。


今の…"皆の王子様"って位置を無くすのが怖い。


だから今まで何かと理由をつけて行動しないでいた。



そんな俺の心境を悟ったのか、郁はもう一度如月さんのいる教室に目を向けた。



そして




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