お伽話をキミに。
…でも逆に、俺は郁の知らないところいっぱいあるんだよなぁ…
郁人秘密主義だし(面倒臭がりともいう)。
「…なぁなぁ、郁の好きな人ってどんな…」
「悠斗、着いた」
実は話を聞いて以来俺が日々密かに気になっていたことを尋ねようとした瞬間、郁の足が止まり目の前には静かな図書室の扉がどーんと立っていた。
…なんつータイミングの悪さだよっ!!
「………あれじゃね?」
内心ちょっと落ち込んだ俺を無視して扉の窓から中を覗いて確認する郁。
俺もそーっと顔を出せば、確かに中で如月さんが分厚い本と睨めっこしていて。