お伽話をキミに。




「ごめんなさい!遅くなっちゃって…!」


「ぜ、全然!」




パタパタと可愛く走ってきた如月さんは俺の前で申し訳なさそうに顔を歪めて頭を下げる。



いやいや、全っ然待ってないし!時間前だし!


寧ろ俺が早く来過ぎちゃってごめんなさい。



そう心の中では思ったのに結局全部喉の奥で詰まって、口から出たのは"全然"の一言だけ。


どんだけ緊張してんの、俺。でも




「あ、ありがとうございます!!」




目の前で如月さんがキラキラした笑顔を見せてくれたから、別にいいかな…とか思っちゃったり。




< 173 / 177 >

この作品をシェア

pagetop