お伽話をキミに。

《中等部の王子様》






キーンコーン カーンコーン....





終業のチャイムが鳴り響くとともに、ある教室から聞こえた複数の甲高い声。





「きゃー!!悠斗く〜ん!またねぇ〜」


「王子〜!また明日ねっ」





教室の出入口の前で甘ったるい声で話し掛けてくる女子たち。


周りに無数のハートが飛んで見えるのは気のせいじゃないはずだ。



そして、そんな彼女たちに笑顔で手を振るのは




「うん。また明日ね」




俺、3年A組・水無月悠斗。



一応、ここ藤宮学園中等部の王子様。



俺が笑う度、女の子たちから上がる黄色い声。


その声にもう一度笑いかければ、漸く満足したのか彼女たちは教室から出ていった。




< 2 / 177 >

この作品をシェア

pagetop