お伽話をキミに。




返ってきた反応を見るかぎり、俺はちゃんと笑えているらしい。


…まぁ…とりあえずそれはいいとして、問題なのは今俺の目の前にいる女の子だ。



王子としてあるまじきことだけど、自分のことでいっぱいいっぱいだった俺が漸く彼女の顔を正面から見れば、それはそれは申し訳なさそうに眉を下げていて。


……王子が女の子にこんな顔させるなんて、言語道断。


絶対あっちゃいけない。




「本当に全然大丈夫、重くなんてなかったし。むしろ軽いくらい」




俺はなんとかその表情を止めさせようと、いつもより数段柔らかい物腰を意識して彼女に声をかける。




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