お伽話をキミに。
そういえば、龍ちゃんから女の噂なんてほとんど聞かないなぁ…
龍ちゃんが中3の時にちらっと憧れの人が〜…的な話は聞いたけど、それっきりだ。
「あー…でも俺、どうやったら付き合えんの?」
ま、龍ちゃんのことなんて後でいいんだよ。
それより奪われた俺の恋心の方が先決。
「本気で落としにかかれば?」
窓際で頬杖をつきながら如月さんが消えていった校門を見つめる俺に、郁は特別気にすることもなくそう告げる。
いやいや、そんな簡単な話じゃないんですよ郁さん。
だって俺、ハートのど真ん中撃ち抜かれちゃったんだもん。