お伽話をキミに。
「な、に…これ」
「悠斗が恋したって送ったら返ってきた」
状況を掴めない俺をよそに、無表情のままあっけらかんと言ってのける郁。
な、ななな…!龍ちゃんにばれた!?てか、さっきから郁がメールしてた相手、龍ちゃんかよ…!!
「…でもこの通りだろ?」
「え?」
郁はもう一度携帯の画面を見直すと、俺の額を指で弾く。地味に痛いんだけど、それ。
キッて郁を睨もうと視線を投げれば、目の前にいた郁は予想外に真面目な顔をしていた(それでも無表情)。
「龍先輩が言う通り、うじうじしてちゃ女は捕まえられないって」