お伽話をキミに。
にっこりと効果音が聞こえそうな微笑みと一緒に口から出た嘘。
……く、苦しい…か?
でもこれ以上にいい嘘思いつかねぇし。
こんな時に使えねぇ頭でどうすんだよ、俺の馬鹿!!
「あ、そうだったんですか!…そうなんです。でも、もう一つ理由があって…」
俺の咄嗟の言い訳に彼女は疑うことなく笑ってくれて。
ホッと息を吐いたのも束の間、俺は彼女の頬が赤く染まるのを見逃さなかった。
─…前言撤回。
何でこんな時に限ってよく回るの俺の頭。
ドクドクと心臓が騒ぐ。
理解してしまった。もう一つの理由が俺に傷をつくると。
でも、俺の口はそれを止めることは出来なくて。
「…憧れの人がいるんです」