お伽話をキミに。
それでも俺はその台詞を撤回する気にはなれなくて。
龍ちゃんの声を知らん顔してそっぽを向いた。
そしたら聞こえてきたのは、盛大すぎる溜息で。
「……つーかなんだそれ。告る前に失恋でもしたわけか」
八つ当りすんなよ、と付け足された言葉に俺の肩はピクリと震える。
勿論、そんな俺の反応を龍ちゃんが見逃すわけもなく。
へー…とか、ふーん…とか言ってるのが俺の過敏になっている耳に入ってきて。
今の龍ちゃんの顔なんて見なくても言い当てられる。
絶対、絶対確実に意地悪くニヤニヤ笑ってるはずだ。
そう確信して断固顔を上げないつもりでいた俺。