しあわせ色の恋~想いよ、永遠に~
流星群
「いい? 美羽。絶対に迷惑かけちゃダメだからね」
玄関で靴をはく私に、お母さんが言った。
もう、これで何度目だろう。
「遅くまで騒がないのよ。近所迷惑にもなるし」
「もうっ!!わかってるよ。小学生じゃあるまいし、ちゃんと考えて行動できるって」
ヒールの靴をはいて、クルリとお母さんを振り返る。
私の手には、お泊まり道具。
そして、お母さんがしきりに持って行けと言っていたクッキーシュー。
近所の有名なケーキ屋さんで買ったものだ。
「ちゃんとお家の人にあいさつして、そのシュークリームを渡すのよ。わかった?」
もう……。
だからわかってるって。
朝から何度も同じことを言わないで。
夏休みに入り、日和の提案で一日だけ日和の家に泊まることになった。
もちろん、壮吾とレオくんも一緒。
みんなで徹夜して、思い切り遊ぼうってことになったの。
お母さんがこんなにうるさいのは、初めてのお泊まりだから。
もう高校生なんだし、迷惑をかけなければ一日くらい泊ってもよし。
と、許しを得たんだけど……。
ここまでしつこく何度も何度も同じことを言われると、耳にタコ。
まだ何か言いたげなお母さんがわを見ていたけれど、
「いってきまーす」
と、耳にイカまでできないうちに素早く玄関を出た。