黒猫-私の部下-

天宮の家に着くと、とんでもない光景を目の当たりにした。

エンジンを止めるのも忘れて車から飛び降りた。

マンションの二階、天宮の部屋が炎の海と化していた。

「な、、、んで」

僕はこの状況を直ぐには飲み込めなかった。

ただ蛇の様にメラメラと踊る炎を見て立ち尽くしていた。

誰かに肩を揺らされ我に返る。

「翔、大丈夫か?何度も呼んだんだぜ?」

そこに居たのは司だった。

いつから居たのだろう。

「ゴメン、大丈夫。、、、鎮火されたら中に入ろう」

「そうだな。亜理紗が心配だ」



しばらくして炎は消え、中に入れるようになった。

僕と司は警察手帳を見せ、天宮の部屋に踏み込んだ。

何だか嫌な予感がするのは気のせいだろうか。

だが、僕の予想は的中してしまった。

火災の所為で黒焦げになった部屋の中に真っ黒の塊が転がっていた。

勿論それは遺体で、恐らく天宮。

「嘘、、、だろ」

そう呟いて、遺体に近づく。

遺体は炭の様に黒くボロボロで性別が判らない。

ちょっとでも触ったら崩れてしまいそうだ。

「亜理紗って決まったわけじゃないだろ」

震える声で司は冷静な事を言う。

確かにそうだ。

天宮という証拠が無い。

探さなくては。

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