終止符。
「はい。FJ商事、社長室。秘書の長尾でございます」


明朗で、なめらかな話し方だ。


「あの…、滝本咲良です。先日はどうも…」


一方の私はいまいち言葉の歯切れが悪い。

それは間違いなく、この憂鬱な気持ちのせい。


「これはこれは、咲良さんでしたか。私も社長同様お待ちしてましたよ。ご連絡頂けると信じてました。きっと社長もお喜びになります」


空々しい言葉が、これでもかと言うほどに並べられている。

私の気持ちは一層重たくなる。


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