終止符。
「あの…徳田さんはずっと前からここに…?」


徳田の目尻の深い皺が少し伸び、一瞬驚いた様にも見えた。

が、すぐにいつもの柔らかな笑顔に戻った。


「はい。こちらの家には先代様の頃より、40年仕えさせて頂いてます」


…やはりそうだったのか。


「…あの、じゃあ私達が住んでいた頃も?」


今までの私は、自分の過去について、知る権利があると思っていた。

だけどそれは間違っていた。


権利ではなく義務。

そう思う様になった。

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