終止符。
おおよそ荷物が片付いた頃だった。


「入ってもいいかな?」


父の声がした。


「…どうぞ」


そう答えると、ドアが開いた。


「大体片付いたね」

「はい」

「何か欲しい物はないかい?」

「ないです。用意されてましたから」

「うん、そうか。…なぁ、もうじき昼だけど何か食べたい物はあるかい?何でもいいよ」

「特には…」

「うーん」


父は額に手を当て考えながら、

「じゃあ、近くに美味しいイタリアンがあるから行こうか?」

と言った。

私は無言でただ頷いた。


「じゃあ決まりだ。早速行こうか?」


私の気持ちとは裏腹に、能動的な様子の父だった。


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