終止符。
昔の、あの頭の底にこびりついた記憶そのものだった…

蘇ってしまった。

もう、どうにもならない。

忌まわしき記憶の追体験は、私を泥沼へと引き摺り込む…



「…大きな音を立ててすまない」


顔に手を当てて、うつむく父。



そんな上辺の言葉なんていらない。

何も要らない。


やっぱり、期待なんてするべきじゃなかったんだ…。

この人は何も変わっちゃいない。


これまでの出来事が入り乱れて、ぐるぐると頭の中で反芻している。

期待するからいけないんだ。辛いんだ。

もう、やめた。


憎もう…。

憎めばいいんだ。

そうよ…。


どうすればこの人を傷つけられるだろう?

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