Last Sound
「エトーの強がり」
「はあ?なんか言ったか?波瑠斗」
「だから、エトーの強がり、って。
本当は辛いくせに。
彼女と別れて寂しいくせに。
そうやって必死でいつもの自分を保とうとしてる。
いいじゃんか、大人だって悲しいときくらい悲しい顔したってさ」
顔を上げていたエトーは
だんだん俯いていって。
「…やめろよ。
そういうの。
大人はカッコ付けたいもんなんだから」
語尾の震えるエトーはやっぱり辛かったんだと、悲しかったんだと、分かった。
「俺も楽も、まだ高校生だからさ。
エトーからすれば子どもかもしんないけど。
だけど、話くらいいくらだって聞くから。
だから、あんま、無理すんなよ。
俺らが1番困ることは、エトーが元気ないことなんだから」
俺の横で楽が頷いている。
「俺、お前らに…心配かけてくなくて。
我慢…してたのに。
なんだよ、バカヤロー!
何優しい言葉なんてかけてんだよ!」
なぜかエトーは怒っていて。
大人ってよく分かんねーな。