シャーペンと君とあたし



「鋭くて気も利くし。あれでもかなりいい奴なんだよ。」


「…ふーん。」


でもどーやら、孝太が知ってる神田俊は違うらしい。



「まっ、毒舌すぎっから分かりずれぇんだけどな!!」



さっき教室で散々だったし、否定したいっちゃ否定したいし、受け入れにくいっちゃ受け入れにくいんだけど…


今起きてることも、現実なわけで。






「…………」



─…なんか、意外。


他人のこととかすっごいどーでもよさそうなのに…








「ほら鈴乃、椅子かせって。」


「…えっ?!」




孝太に声をかけられたこの瞬間まで、体育館倉庫に着いていたことも、


瞳が無意識のうちに荷物を担ぐ神田俊の横顔を追ってしまっていたことも、



「あっ!ごめん!ありがと…!!」



─…あたしは気付かなかった。






【2011.02.06】修正中

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