モザイク
破片が重なっている床が、元の姿を覗かせていた。周りはモザイクのままだから、モザイクになっていない床が妙にはっきりと自己主張しているように見えた。
神宮寺はしゃがみ、破片の一つを手に取った。そして、壁の方に向け覗いてみた。すると、元の景色が見えた。
「み、見える・・・。見えるぞ。」
この破片を使えば、病院に戻れると思った。さっそく出口を探した。さっきの苦労はなんだったのだろう。そう思えるくらいにあっさりと出口は見つかった。

「さて、気合い入れて歩くか・・・。」
見上げると太陽は太陽のまま輝いている。それを確認してから、病院へと歩きはじめた。

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