借金とりとおにごっこ!?


外に出ると、風がふわりと吹いた

風に混ざって、柔らかないい香りがする


田舎の空気って、どうしてこんなに
気持ちいいんだろ.................


一度、大きく息を吸ってから
体の向きを左に変える


「いこう、夕矢」

「おう」


すこしでも右によれば
肩と肩が触れ合いそうな距離

なんだかちょっと恥ずかしくて
甘酸っぱいものがこみ上げてきた


ピンク色に染まった私のほほを、
風がなでる



すごく心地が良くて、
もっとこのままでいたいと思った

このまま、時が止まってしまえばいいのに



でも、時はむしろ早いぐらいに
すすんでいった




刑事様が言ったとおり、
10分ぐらいでついたところ


そこに建っていた
ちょっと小ぶりの一軒家からは、
懐かしみを感じさせられた

ここが、前住んでた場所.............



「中、入るか?」

「うん」


扉には鍵がかかっておらず
すんなりと空いてしまった


物騒だなぁ~


っていっても、まだ新しい住人は
いないみたいだし、当たり前か.........


その証拠に、家の中は
生活感が感じられなかった


しんと静まり返った家の中に、
自分の呼吸する音だけがする







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