借金とりとおにごっこ!?
すっと息を吸い話し始めた
「この家は、私が小学校の......
確か4年生の頃まで住んでいたの。
この家に居られなくなって
私は、おばあちゃんちに預けられた。
なんで住めなくなったかは、
お父さんが多額の借金を作ったから。
その借金を作った本人は、自殺した。
お母さん、言ってた。
『お父さんは桜になったんだ』って。
内緒よ、と唇に人差し指をあてた
お母さんの顔は、見てるこっちが
苦しいくなるような顔だった。
表向きでは『事故死』となって
慰謝料が入ってきたらしくて、
多分お父さんは、それで借金を払おう
って思ってたんだと思う。
慰謝料がどれくらいあったのかは
わからないけど、それでも、
まだ借金は残ってるの。
お母さんは時々帰ってくると思うと
どんどんやつれていってた。
とうとう中学3年生になった時、
お母さんは帰ってこなくなったの。
逃げたんだと思う。
それと同時に、
たった一人頼れる存在だった
おばあちゃんが死んだ。
皆、哀れみの目で私を見た。
でも、借金した親の娘なんか、
だれも手を差し伸べてくれなかった。
ある日、家に借金取りが来て、
私は、おばあちゃんにいざという時
使うようにと言われた10万円で
電車に乗って逃げたの。
これからは、一人で生きていくんだ
って、心に決めて
私は日坂未影になったの。」
こんな長くて、まとまってない話を
夕矢は真剣に、真直ぐに私の目を見て
聞いてくれた
それがなんだかうれしくて
涙がこみ上げてきた