赤い糸



「えっ…?
何か今日の雪、冷たくない?」




「うん、そうだね。
名前からして、冷たいもんね。」




「ぅえっ!?
ってか、あたしそんなつもりで言ったんじゃないんだけど…。
そう聞こえたならゴメン!」




申し訳なさそうに目を伏せて手を合わせてくる。




そんなことしなくても分かってるよ!




謝るのは私の方なのに…。
これは、ただの私の嫉妬なの…何て素直に莉子に言えるワケもなく…素直になれない自分がこんなにも辛いなんて思いもしなかったよ。




きっと男心を擽るのはこういう守ってあげたくなるような素直で可愛い女の子なんだと思う。




きっとあの人もこんな可愛い子に“好き"なんて言われたら即答で“OK"を出すはず…。




「分かってるよ!
冗談…で、何?
やっと告る気にでもなったの?」





私は鎌を掛けるつもりだけで、言った一言のはずだった――…




「あっうん…。
スゴイ!
さすが雪だね♪
何で雪には、分かっちゃったんだろう?
今までの私の行動でバレバレだったとか?
ココだけの話しなんだけどね…。」




「へっ!?」




“ドキン"




心臓の脈が尋常じゃないくらい早く動き出す。




本当は聞きたくない――…




「やっと覚悟決めたんだ!
いつするの?」




聞きたくないんだけど――…




言葉の流れには逆らえない…。




聞くのがこんなにも恐いことなんてあるんだってこと初めて知った。




もう2度と恋なんてしたくないのに――…




あなたへの想いは、それとは真逆に動いていくだけでなく、ドンドンとその存在感は大きくなっていく。




「夏休みのサークル合宿中に春馬に告ろうかと思って…。」




その言葉に目を大きく見開きながら驚いた。





「………」




返す言葉が見つからない。




私、今どんな顔をしてるんだろう?






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