ホワイト キャンバス
2人で屋上へ戻ると、淋そうにフェンスにもたれかかるヒカルの姿が見えた。

何故か、咲の姿が見当たらない。

「あれ…咲は?」

ヒカルの元へ行って聞いてみても、

ただぼんやり空を眺めているだけで、

聞こえているのか、聞こえてないのかよく分からないが、

ヒカルは心が此処にないみたいに上の空だった。

「…ヒカル、何とか言えよ」

そんなヒカルにただ途方に暮れる私を見て、

春が、少し強めな口調でヒカルに言った。

「…アイツさぁ、先輩と付き合ってんだって」

それから数秒経った時、ヒカルのか細い声がかすかに響いた。

「どういう事だよ」


それにいち早く反応したのは、私じゃなくて春。
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