紳士的なLady
丁度、あの時のように。
真正面には、架月が居る。
泣き顔を見られたくなくて、ぎゅうっと目を瞑って、顔を真横に向ける。
「……何してんだ?」
「何でもない」
泣いている時特有の鼻声で、私は答える。
「満原、顔、こっちに向けろ」
「絶対に嫌」
「いいから」
優しく、優しく架月は言う。
いつもと違う架月に、緊張しながらも、架月の言った事を聞かない。
はあっと、また架月の溜め息が聞こえる。
……呆れるんなら、こういう事するの、止めれば良いのに。
そう思っている私も、そろそろ折れてやれば良いのだけれど。
「満原」
もう何度呼ばれたか分からない。
まるで聞き分けの無い子どもを宥めているように、優しい声。