紳士的なLady
「剣くん……」
さっきまであんなに騒いでいたのが不思議に思うほど、満原の言葉一つで、静かになった。
途中から、鼻をすする音が聴こえる。
まさか、泣いてんのかよ。
意味分かんねぇ。
『満原、やっぱすげーな』
『ああ。俺もあれぐらいモテりゃいいんだけどな』
隣からボソボソと聴こえる会話。
……鏡で自分の顔見てから言えよ。
運ぶ手が止まった奴らに、さらに苛々が募る。
満原も満原だ。
こんな所にまで、ファンを連れてくるな。
目障りだ。