紳士的なLady
そのままぼーっと、満原を眺め続ける。
満原が1歩後ろへ下がった瞬間だった。
「うわっ!」
先程の叫び声より小さかったが、俺の耳にはっきりと聴こえた。
鞄の中身が全部出てしまったらしい。
鞄、ちゃんと閉めとけばいいのに。
そんな事を思いながらも、口元が緩んでしまっていた。
だが、これで終わらなかった。
拾い上げようとした教科書類の汚れを掃っている時に、満原が転んだのだ。
何してるんだよ。
普通こんな所で転ぶ訳ねーだろ。
……。
危ない。
こいつに気を取られていた。