紳士的なLady
冗談?
「あ……ははは」
そういえば、この前家に連れてきた事があったかも。
その時に私、刀流の彼女と喋ったんだっけ。
まさかそんな馬鹿な事……。
「何笑ってんの」
「はは……だって、刀流が彼女と別れて理由が私、だって」
「笑い事じゃねーよ」
未だに笑っている私の後ろから、低い声が聴こえた。
「あ。おかえり」
「刀流の気持ちぐらい、分かってやれ。馬鹿」
振り向くと、気だるそうに突っ立っている私の兄、満原剣夜が立っていた。
「お前がモテるなんて、世の中終わってるな」
「そうだね」
剣夜兄は、大学生。
私と違って、頭がとてもとても良い。
理学部で、何かの研究をしているらしい。
それともう一つ。
彼が千波の好きな人だ。