紳士的なLady
自分の足元しか見ていなかった私は、頭を上げた瞬間、自分が愚かだった事に気づいた。
「何でお前がいる訳?」
…最悪だ………。
私の目の前には、声の主である、架月玲佳がいた。
架月玲佳。
彼は、私が苦手としている分類に入る男だ。
容姿だけの人間。
そう思うのは、学校中捜しても、多分私だけだろう。
私が彼を苦手としている理由の一つは、雰囲気だ。
確かに、容姿は素晴らしい。
女の私が彼を羨むくらいなのだから。
だけど、その雰囲気が苦手だ。
人を見下していて、冷たい感じ。
それと
……何だか、怖いのだ。
「満原」
もう一度、彼に名前を呼ばれてハッとする。
「こんな時間に、何でお前が居るんだよ」
彼は不機嫌そうに、そして私の存在を消してやりたいような、そんな目で私を見てきた。
何、この人。