紳士的なLady
「っはあ……!はぁ……」
やっと離してもらえた。
まだ息が苦しい。
呼吸が上手く出来ない。
半分開いた唇から、唾液がツ…ッと落ちていく。
「満は……」
「わあああ!!」
架月が呼ぶ声を無視して、私は言葉を遮る。
「架月!」
少しだけ架月と距離を持ち、顔に向かって人差し指を真っ直ぐ伸ばす。
「私、架月にそんな事されたら本っ当におかしくなるの!
自分でも訳分かんなくなるの!!」
広い広い第1講義室には、荒い息遣いで立っている私の声が響く。
「お願いだから……!」
混乱しちゃったり、
架月のことばっかり考えちゃったり。
「お願いだから、ぐちゃぐちゃにしないでよ……」
そう、弱弱しく言って座り込んでしまった。