紳士的なLady
何を言ってるの?この馬鹿。
さっきまで頭をずっと下げてて、許してやっても良いかなと思っていたすぐ後に。
許すの止めた。
「私何も悪い事やってないけど。榊に対して」
「いや、今のは満原が悪い。絶対満原が悪い!」
「もう帰って。じゃあね」
「待て!」
肩を掴まれ、ガバッと榊の方へ向けさせられる。
顔が近い。
苛々してきた私は、榊にこう言ってやった。
「榊、会長なるの止めたら。会計とか、そんなのが似合ってるよ」
生徒会長なんて大それた役職にお前は向いていない。
電卓をカタカタ打っている地味な役の方が、榊にはお似合いだ。
「な……!」
「ね?榊、数学しか得意じゃないんだし。計算とか速いじゃん。会計になりなよ」
掴まれている私の肩から、榊の手を離す。
ずるりと落ちる、榊の右腕。
「満原……」
「ん?」
「それは、本当にか?」
「うん」
作り笑いとしか言えないような笑みを浮かべ、小さく頷いてみせる。
ただ、榊が面倒だから言っただけなんだけど。
さぁ、もう早く帰って。