紳士的なLady
頭の中がもやでいっぱいになる。
もう……榊の声も、皆の声も、何も、聴こえなくなっちゃえ………。
「満原剣!」
「はいい?!」
うとうとしていた私は、思わず声を上げてしまう。
何百もの目が、一斉にこちらを向く。
何?!
何で皆こっちを見てるの?!
「満原は僕のライバルで、会計になろうと思ったのも満原の言葉があったからです!」
私、そんな良い事をやった覚えは無い。
誇張しすぎだ。
「僕は、そんな満原が……」
ん?何。急に黙っちゃって。
沈黙の間、こちらを向いている顔は、ぐにゃりと歪んでいく。
榊、何するつもりなの?!
スゥッ、と息を吐く音と、
マイクが拾う、ノイズ。
それだけが、聴覚を支配した直後――
「満原が好きです!」
……?
これは……
悪い、夢?