紳士的なLady
「架月くん」
「何だよ」
沈黙。
さっきから何がしたいんだ、早川は。
不思議に思いながらも、俺は左に向けていた顔を元に戻す。
その時だった。
「ねぇ……。
本当に、本当に、剣ちゃんのこと好きなの?」
じっと、こちらに訝しげな視線を送る早川に耐え切れず、
「は?」
と、少し声を荒らげて、彼女の方を向いた。
眉をひそめて、疑いの目を向ける早川。
だけど、その顔は、何故だか切なそうに見える。
あんなに得意そうに笑っていたのに。
あんなに愉快そうに話してたのに。
何で今、そんな顔してるんだよ。