紳士的なLady
「剣ちゃんだと思った?」
こんな柔らかい雰囲気の奴なのに、訊いてくる言葉は棘のように鋭い。
「別に」
そう言いながら、俺は重たい上半身を起こす。
少しだけ期待してしまった自分を、早川に気付かれたくない。
敢えて短く答えると、彼女はそれに気付いたのか、
「そっか」
とだけ言って、笑みを浮かべ、隣に座った。
「架月くんてさー、気付かれないようにする時って、いつも素っ気無く答えるよね」
思わず目を見開いてしまった。
「ていうか、嘘吐くの下手だよね!…って、図星だった?」
楽しそうに聞く早川に、背筋がゾッとした。
見事に的中。
そんなに分かりやすいのか、俺。