紳士的なLady
「俺は、早川を好きになれない」
彼女の目を見ながら、はっきりと。
満原以外の女子を、今好きになるなんて、俺には出来ない。
「早川も、すごく良い奴だと思う。でも、俺は満原が好きなんだ」
「どうして?剣ちゃんのこと、面白いからって言う理由だけで好きになったの?」
「違う」
否定すると、早川は不思議そうな、それでいて、不服そうな顔をする。
満原の好きなところ。
面白いって言うのは、勿論。
でも、それだけじゃない。
満原の、不器用ながらに優しいところ。
本人は気付いていない、真面目なところ。
いつも、真っ直ぐで、凛としているところ。
「俺が満原を好きなところは、たくさん、あるんだ……」
だから――。
「だから、俺は早川を好きにはなれない」