紳士的なLady
「……知ってるよ」
早川は立ち上がってスカートを払う。
「ごめん」
「架月くん、何勘違いしてるの?」
はあ?
「何って……。今の」
「私のあの程度の演技で何ワタワタしてるの?
そんなんだったら剣ちゃん、榊くんに取られちゃうよ?
あっ、でも剣ちゃんは榊くんのこと、どうとも思ってないけど」
1人で納得したように、頷く早川。
「ちょっと待て。早川、もう1回説明してくれ」
「剣ちゃんがあんまりにも優柔不断で、見てて焦れったいの。
だから、私が架月くんをちょーっとだけ誘惑して……。
うん、そしてハッピーエンド!」
説明ハショリやがった、こいつ。
「でも剣ちゃん、来てないんだよねー……。
この場合だったら、剣ちゃんが私たちを見るでしょ?」
早川の説明が長いから、もう一度、自分で整理する。
① 満原が俺らが2人きりで居るのを見る。
② 早川が俺に近づいているのを見て、キスだと勘違いし、その場から逃げ出す。
③ 満原は何故逃げたのかを考え、それは俺が好きだからだと自覚する。
④ そして満原と俺はハッピーエンド!
って事になる筈だったらしい。
「馬鹿じゃねーの?」
「さっきの架月くんの慌てた表情よりもマシだと思うけど?
何?さっきの。青春ごっこでもしてるつもり?
架月くん面白ーい」
……こいつを言い負かせる奴、誰か来てくれ。