紳士的なLady
「大体、私には好きな人居るんだから」
こちらが不愉快になる程、愉快に笑っていた早川は、少しだけ頬を赤く染めながら言った。
いや、これも演技か?
そう思って身構えたが、彼女は俺のそんな視線も軽く躱した。
……自意識過剰になりすぎたみたいだ。
「剣ちゃんのお兄さんで、剣夜さんって言うの。今大学の理学部生」
そう言って、早川の兵器である、携帯電話をポケットから取り出す。
「この人ね」
嬉しそうに、だけど恥ずかしそうに写真を見せる。
写真には、美形の男性がこちらを向いて笑っている。
確かに、満原に似ている。
「素敵な人でしょ?」
その問いかけに、頷くも、何も答えられなかった。
その写真の“剣夜さん”と言う人がカッコいいからとかではなく。
早川と俺が、こんな話をして盛り上がりかけている事に、虚しくなったのだ。
何が楽しくて、早川と恋バナしてるんだ。