紳士的なLady
「俺、満原の事、最初は嫌な奴だと思ってた」
その後で、「ちゃんと聞いてろよ」なんて、言う。
「うん、嫌な奴だと思ってた。で?」
わざと話を続けるように促してみた。
架月は肩を少しだけ揺らし、笑う。
「でも全然違った。真面目そうな顔してんのに、ボーっとしてるし、結構抜けてるし」
ムッとしたが、「ふーん」とだけ言っておく。
怪我が治ったら、眉間にデコピンでもしてやろう。
「あとさ、お前の名前“つるぎ”だろ?」
「そうだけど?」
「俺の名前、“れいか”じゃん」
「うん」
急に名前の話?
やっぱり意味が分からない。
まぁ、いいか。
「お前が前、俺の名前が綺麗だって言ってくれたの、覚えてる?」
「は?そんな事私言った?」
しまった……っ!!
ここは嘘でも「覚えてる」って言ってれば良かったのに!!
一つ大きな溜め息を零す架月。
「お前のそういうとこ、割と好きだよ。じゃあ、話してやるよ」
不服そうな顔をしつつも、口を開いて言葉を紡いでいく。