紳士的なLady
ずっと言わなかったその言葉は、
とても小さくて、消え入りそうな声だった。
無意識のうちに、硬い鎧を着けていた私は、とてもとても小さくて弱い。
恥ずかしくなって、架月の背中にしがみつき、顔を隠す。
何で、こんな時に言っちゃうんだろう。
傷だらけの女の告白だなんて、怖いだけじゃないか。
もっと、ムードとか考えるべきだった……!!
「好き」と言ったその直後に押し寄せてくる、ネガティブな思考。
後悔と云う言葉がまさに今、私のためにあるような気がした。
「やっと言ってくれた」
背中で感じた、声の温かみ。
「今から俺が喋ってもいいよな?」
そんな事、訊かなくてもいいのに。
「ちゃんと聞くから。言って」
それだけ言って、顔を、少しだけ上げた。