紳士的なLady



――目の前が、真っ赤だ。




不思議に思って、目を開く。



「剣、おはよう?」



聞き慣れた声が、見慣れた顔が真上にあった。



「……鈴…音?」

「と、俺!小野寺壮……」

「分かった。どうしたの?」

「ちょっと聞いて!剣!ここ、怪我したの!」



そう言って、鈴音は膝を私に見せる。




そういえば、彼女たちは体育委員の仕事をするとか言っていたような気がする。



「あ……。擦りむいてるんだ。痛かったね」

「痛いよ!」


当たり前の事を言った私に、口を尖らせつつも、まだ喋り続ける鈴音。


「体育委員の仕事してたら、こうなったの!剣、応急処置!」

「えっ、私が?」

「いいじゃん。保健室でサボってたんでしょ」

「違う。1年生運んできて……。もういい。説明が面倒」



大きく溜め息をして、起き上がる。

そして、身体を伸ばす。



「剣ちゃーん!誰この子、めちゃくちゃ可愛い!」



横目でチラリと見ると、小野寺がカーテンをめくって、田崎さんを見ている。



「止めなよ。小野寺」


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