紳士的なLady
さっさと歩いて、シャーッとカーテンをきっちり閉める。
「剣ちゃん、この子運んできたんだろ?」
「そうだけど」
「その恰好で?」
「そうだけど」
「うっわー!!暑い!見ている俺の方が暑い!!」
もういいから、小野寺は黙れ。
「壮貴、寝てる子に迷惑でしょー。ほら、さっさと退く!」
「鈴音まで?俺扱い悪ッ!」
いい加減、静かにしてくれないかな。
2人の前であからさまに迷惑そうな顔をすると、
「………剣先輩?」
と、カーテンの奥から小さな声が聴こえてきた。
軽い音を立て、目を開けてこちらを見る田崎さん。
あーあ……。起こしちゃった。
「田崎さん、ごめんね。五月蝿くしちゃって。もう、大丈夫?」
「えっ……?保健室?私……」
「熱中症みたいだったから。部室、暑かったしね」
「ここまで、剣先輩が?」
「ああ、うん。ここまで、私が……」
「運んできたよ」と言う前に、田崎さんに抱きつかれた。