紳士的なLady



丁寧に、丁寧に。

わざとらしく、嫌味なほどに、丁寧に、私は鈴音の膝に包帯を巻いていた。





「剣ありがとー。すっごく上手じゃん」

「弟のよくやってるから」

「そっかそっかー」


私には弟がいる。

ムカつく、ただのガキ。

童顔だから、それを上手く利用してる奴。



「刀流くん、可愛いじゃん」


にこにこと笑いながら、私にそう言う鈴音。



「刀流ね……。あんなのなんかいらない」

「いいじゃん。可愛い弟がいて」


名前は刀に流れると書いて、“とうる”。

ネーミングセンスが異常な両親に、私と同様、可哀想な名前を付けられたと思う。


でも、本人は自分の名前を気に入っている。




中学に入学して、2年。

童顔で、私よりも賢い刀流は何故かモテる。



私よりも早く、彼女を作るだなんて。



ませている。


色気づいて鬱陶しい。

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