紳士的なLady
「刀流の話なんか、どうでもいいから。はい、出来た」
丁寧に巻いた包帯の上から、バシッと膝を叩く。
「痛ーいッ!何するのよ、剣!」
「早く治るように、おまじない」
「おまじないって……。剣が何か可愛い事言ったー!!カッコいいー!」
違うそれ。間違ってる。
これ以上溜め息を吐かないように、グッと飲み込む。
肩で大きく息をした後、包帯を小さく巻いて、救急箱の中に直した。
「ありがと、剣」
「うん、じゃあまた明日ね」
鈴音が、小野寺と一緒に帰ろうとした時。
保健室の先生が、走って帰ってきた。
「ありがとう、満原さん!お留守番、ご苦労様」
「えっ、あ、先生……」
「先生今から帰るの!今日は大事な日なんだから!貴方達は帰った帰った!」
半ば強引に、背中を押されて保健室のドアの外まで追いやられる。
「なーにー?あの先生。若いからって良い気になって……。私らよりも年増なんだから」
「本人も分かってるよ。また彼氏か何かじゃない?もう帰ろうよ」
「俺も鈴音と剣ちゃんと一緒に帰るー!」
「壮貴黙って!」
鈴音がムスッとした顔のまま、小野寺に厳しい一言。
私も、部活戻らなきゃ。