オモイビト
教室内がピリピリし、みんなが一致団結している中、あたしは特に気にすることなく話していた。
だって、陽紀って優しいし、実は面白いもん。
「テメェ、想に会ってないだろ?」
「うん、寝坊と説教で休み時間潰れてたし」
「会う気は?」
「嫌でも会うじゃん」
『TEAR』で。
「陽紀はなにしに来たの?」
「連行しに」
「昼休み終わっちゃうよ。残念でした。まさか昼休み始まった頃からいた?」
「あぁ、お前待ってた」
つまり、もう数十分はおしゅくらまんじゅうしてるということだろう。
廊下に逃げないのは……怖くて動けないってとこかな?
「陽紀、さっさと教室から出てってよ。ってか机座らないでよ、手元温くなるじゃん」
おしゅくらまんじゅうがビクッとしたのがわかった。